小泉誠さんとプランテーションの心地いい関係

プランテーション全店の空間デザインを
20年にわたって手がけている、
家具デザイナーの小泉誠さん。
ユニセックスの新ラインでは、
モデルも務めてくださった小泉さんですが、
今回は初のコラボレーションアイテムが、
店頭に並ぶことになりました。
小泉さんの美学が詰まったアイテムの数々を、
ご本人へのインタビューとともにご紹介します。


Tシャツ×生活の痕跡


生活に関わるものすべてのデザインを手がけている小泉さん。

Tシャツにも生活の痕跡が表現されています。

上はほつれを表現した柄。

下は蕎麦猪口の輪染み(わじみ)がモチーフ。

輪染みのTシャツ R 12,000円(+税)
縄のTシャツ   R 12,000円(+税)


バッグ×大工道具


大工の道具入れをモチーフにした、

タフで機能的な2つのバッグ。

からし色のカラーリングが新鮮なトート(上)と、

大工の腰袋を発展させたポシェット(下)。

トート 15,000円(+税)
(一部ショップ・HUMOR限定発売)

ポシェット 16,000円(+税)

アクセサリー×仕口


伝統的な大工の手仕事、仕口(しぐち)。

接着剤も金具も使わず木を接ぐ技をアクセサリーとして

身につけて楽しむことができます。

日本の「桜」とアメリカの「ウォールナット」を使用。

ネックレス(丸) 11,000円(+税)
ネックレス(角) 11,000円(+税)
ブローチ(丸)   9,000円(+税)

スツール×地場産業


座面の生地は、プランテーションNAVYで

使用している岡山のデニム。

スツールはアメリカのミルクスツールが原形。

ともにアメリカ生まれの日本育ちです。

スツール 各32,000円(+税)
プランテーション自由が丘にてオーダー販売となります。
詳しくはこちら。

小泉さん×プランテーション


待ち望んでいたユニセックスの復活で、本当に大喜びしていたところに、今回のコラボレーションの話をいただきました。ユニセックスの流れから、伝統的な男仕事の道具を女性も含めみんなに使ってもらえたらいいな。そんなことをプランテーションの皆さんに話したら、面白いねって乗ってくれて。そこで、植木屋さんの道具だとか、いろんな道具を挙げていったのだけど、その中で大工道具に一番興味を持ってもらえました。上がぴゅっとすぼまった大工道具入れの独特のプロポーションを、プランテーションらしい色使いと丁寧な仕立てで発展させたのが、今回のプロジェクトでいちばん初めにできたトート。タフで機能的で、それでいてお洒落で。すごくいい仕上がりになりましたね。

木のアクセサリーは、大工さんの伝統的な手仕事で、仕口というものがあるんですが、その技術を身につけて楽しめるようにしました。元々僕らが作っていた仕口の箸置きのアレンジなのですが、プランテーションの皆さんと話していくうちに生まれたのが、この2つに分かれるブローチです。くっつけても、分けても使えるのは自由だしすごく面白いねって。そんな風にアイデアを出し合いながら、本当に一緒に作り上げていった感じですね。Tシャツもスツールもみんなそう。そして、どれも生活や日本の地場の技術を感じてもらえるものになっています。

プランテーションと僕との関係は、遡ると20年近くになります。プランテーションは1982年にスタートしたブランドで、当時は倉俣史朗さんのお弟子さんにあたる近藤康夫さんがお店のデザインをされていました。それが2000年頃になって、そろそろ次の人へ渡したいという近藤さんの意向があり、縁あって僕もコンペのお話をいただいたんです。
プランテーションは、個人的にも大好きなブランドでしたから、ぜひ参加したいと二つ返事でチャレンジしました。でもね、僕、今までコンペって50回くらい出したけど、2回しか勝ってないんです(笑)。そんなんだから、とにかく気合いを入れて絶対取るぞ!っていう意気込みで。結果的に、プランテーションが50分の2回のうちの1つになったんです。

お店作りでずっとこだわっているのが、ともかく本物の素材を使うことです。そこで本物って何か?という話になるのだけれど、プランテーションもそうだけど、シルクを作れば本物だっていうわけじゃなくて、綿だって工夫をしてきちんと作っていけば、とても気持ちいい品になるでしょう。そんな意味の本物です。特にお店の素材はケミカルが多く、スクラップアンドビルドでたった3年で壊しちゃう店作りがほとんど。そういうなかで僕は日本の杉の材料を使うことにしたんです。杉は柔らかいし汚れるけれど、でも時間が経つと独特の変化をします。僕が一番はじめに携わった札幌店の杉のカウンターは、もうボコボコで字を書くのに困るって言われることもあるんだけど、それでも20年にも渡って使い続けていられるのは、本物の素材だからなんです。

それからもう一つコンセプトにしたのが、使い回しをして欲しい、ということ。店舗で使われている展示什器というものは、基本的には店舗ごとに捨てられて新しいものに変わっていくものです。でも、それをほかの店舗や倉庫でも使い回せるシステムがあったら、長年使ううちにいい味が出てくるし、何よりお金もかからない(笑)。
自分がやっている生活道具のデザインというところから考えると、やっぱり持続可能な物づくりというのがベースになってくるんです。お店が潰れたから中で使っていた家具や什器も潰す、というのはとても辛い。だから、そういうことが起きないような設計を意識しましたね。

使い回せる什器だけでなくて、プランテーションはお店そのものの形すら20年近くも変わらない店舗もあって、それはアパレル系ではとても珍しいことですよね。でも、それでお客さんもちゃんと来てくれているから、きっと飽きがこなくて、変える必要がないんだろうなって思うんです。それはプランテーションの服にも言えることで、初期の定番ものが今でも並んでいたりする。それに昔買ったものでも形が古くならずに、ずっと気持ちよく着られるんです。もちろん、生地はトロトロ、ボロボロにはなるんだけど、それが気持ちよくもあります。柔らかくて着心地がよくなって、独特の風合いが生まれるんです。

プランテーションの服は、特別なものではないかもしれないけれど、でも、日常使いのものに対して手入れも含めてすごくよく考えられていますよね。流行やデザイン性ばかりにとらわれるのではなく、着やすい形や機能を考えるところから始まって、それを美しく作っていくという考えが根底にあり、そこは僕とすごく似ているんです。それに、そうやって正直に丁寧な物づくりをしたものを、しっかりと見る目を持ったお客さんが使ってくれている。そんな良い循環がプランテーションにはある。プランテーションに関われていることは、本当に僕の自慢なんです。

Profile
小泉 誠 Makoto Koizumi
デザイナー原兆英と原成光に師事。’90年Koizumi Studio設立。’03年にはデザインを伝える場として「こいずみ道具店」を開設。建築から箸置きまで生活に関わる全てのデザインに関わり、現在は日本全国のものづくりの現場を駆け回り地域との恊働を続けている。2012年毎日デザイン賞。2015年日本クラフト展大賞。2000年よりPlantation全店の店舗デザインを手がける。